このき なんのき かさいみき

mikikasai.exblog.jp

元ラジオ局アナで今はフリーで活動中、河西美紀(かさいみき)のげんき・やるき・ほんきのつぶやき。

ブログトップ | ログイン

帰省からの白川郷 後編

※お手数ですが、まだの方は前編からお読みいただけると幸いです。

・・・白川郷の天守閣展望台を満喫して、駐車場に戻り
いざ帰ろうと思ったその時、
助手席の窓がコンコンとノックされました。

ん?

外をみると、20代前半の女性4人組がこちらを泣きそうな顔で覗いています。

窓を開けると、外国人(アジア人)でした・・・

すごく切羽詰まった様子でした。

聞き取れた英語は「Call・・・Taxi・・・Please・・・」。

どうやら、山の上の展望台まで来たのは良いが、
帰りのシャトルバスが終了してしまったみたいで困っている、
タクシーを呼びたいので助けてくれ
ということのようでした。
英語が思うように話せないもどかしさも伝わってきます。
私達も拙い英語。
なんとか会話を試みます。

「Where do you want to go?」

どこに行きたいのか、さらにはホテルはどこかと英語で聞くと、
「Down」と下を指さすだけの女の子たち。
とにかく白川郷の入口(バス乗り場)のあたりまで山を下りたい様子。

タクシー・・・駐車場はおろか、ここ一帯で全く見かけません。
観光タクシーはあっても待機しているような常駐タクシーはありません。
電話で呼ぶにしてもどこから来るか想像もできず、果てしなく時間もお金もかかりそう。
そもそも調べてみてもタクシー会社がすぐに検索に引っかかりませんでした。

この展望台からバス乗り場のあるところまでは
徒歩だと30~40分以上かかります。
時間は既に16時半近く。暗くなってきています。

私は運転席の主人と相談し、
これはもう、私たちが助けてあげるしかないと判断。

「Each two person」

2人ずつでよければ下まで乗せてあげる旨を伝えると、
4人は「Thank you!Thank you!」と心から安堵した表情を見せました。

「Please wait here about 15minutes.」
「OK」

最初の2人を乗せて、車で山を降ります。
舗装はされているものの、1.5車線の狭い道路です。

4人のうち1番コミュニケーションが取れそうな女の子が
車を走らせてすぐ、「Japanese people are very・・・」と
考えた挙句に「very nice」と言ってくれました。
日本の人は親切ですと伝えたかったのでしょう。
日本人代表になっていいものかは分かりませんが(苦笑)、
旅が好きで海外にもよく行く私達夫婦にとって、
この子たちのハプニングはどうしても他人事とは思えず、
放っておくことはできませんでした。

下までの道は7~8分。
車内では互いに拙い英語ながら会話をしようと試みます。
(以下、日本語で記しますが、全てたどたどしい中学英語でのやり取りです

「どこから来たの?」
「マカオです」
「マカオ!行ったことがありますよ。いいところですよね。」
「本当ですか!マカオではショッピングをしたのですか?」
「いいえ、カジノです。笑」
「勝ちましたか?」
「残念なら負けました。笑」
「あなたたちも旅行者ですか?」
「はい、そうですよ」
「どこから来たのですか」
「東京です。」
「私たちは東京に行ったことがまだないんです」
「日本ではどこを見ましたか?京都?」
「いいえ、まだ名古屋だけです」

もっと英語ができればとどんなに思ったことだろう。
せめてイタリア語だったら会話できるのに(苦笑)。
どうしてこんなに英語を忘れてしまったのだろう。
そんなことを思ってもあとのまつり。
主人も自らの英語力の欠如に歯がゆい思いをしていたようだ。

ただ、ひとつ言えるのは、この場合、
上手下手という次元を超えた奇跡的な出会い・・・
今こうして、この車内で、初対面の・・・・正式に言えば
しっかりお顔も拝見しないままに後ろに乗っている
日本が初めての若いマカオ人の女の子たちとのコミュニケーションは
お金で買えない、プライスレスな、まさに旅の醍醐味だったということです。

そうこうしているうちに、麓に到着。
先発の2人を降ろして、再び展望台に戻ります。

寒い中、後発の2人は誰もいない駐車場で待っていました。
後ろに乗ってもらって、再出発。

次の2人はあまり英語の会話も得意ではないようで
私達もある程度4人の情報を先ほど聞いてしまったので、
さっきよりは静かな車内(苦笑)。
あれこれ聞いてみたい気もしたけれど、
やはり英語ということで躊躇してしまっている自分がいました。

何はともあれ、麓まで2度目の到着をしたときには
ちょうど高山行きのバスが泊まっていました。
どこに帰るのか分からないけれど、とりあえず、
ここまでくれば大丈夫でしょう。
私達がいなかったら、きっとあの展望台で、誰もいない寒空の下、
この時間になっても降りられなかったかもしれないことを考えると、
本当に良かった!私自身もホッとしました。

「ありが・・とう・・・ござい・・・ました!」
静かだった後発2人も最後は片言の日本語で
御礼を言ってくれました。
「どういたしまして!」

これにて2人ずつ、4人が無事に合流。
最後に私も窓を開けて挨拶をしようとしたその時、

「Thank you so much!!!!」

私の手元に、窓の外からすごい勢いで何やら箱が2つ置かれたのです。

「What?」

包装紙には「さるぼぼ」のイラスト。
これって・・・飛騨のお土産ではありませんか!

自分たちのために購入したものだろうに、
お礼にと私たちに渡してくれたのです。

東京からの旅行者ということを事前に聞いて、
それなら高山のお土産をあげても地元の人じゃないから大丈夫と
思ってくれたのかな。
移動の間、後部座席でLINEなどで相談し合ってくれたのかしら。

これだけでなく、すかさず別の女の子は、缶のコーンスープを2本
先発の2人が私たちのために買って待っていたのです。
あったかい・・・

お土産もコーンスープも、彼女たちの精一杯の気持ち・・・だったのです。

なんだか、泣きそうになりました。

「マカオにもまた来てください!」って、
一番喋った女の子が、最後に頑張って、英語であいさつしてくれました。
みんなで笑顔でお別れ。
月並みながら「Have a nice trip!」と手を振りました。

しばらく、私たちは軽い興奮状態でした。

こんなこともあるんだね・・・って。

いいことをしたね、いや、いいことじゃないね、当然のことだね・・・って。

彼女たちにとって、私たちのことは旅の思い出として
ずっと心に残るのでしょう。
旅先で助けてもらったことって、本当に、大袈裟じゃなく、
一生忘れられないものです。
私たちもこの出来事は一生忘れられないと思います。
帰省からの白川郷 後編_e0039787_0162685.jpg


※白川郷から名古屋まで帰ってきてからは、
手羽先を食べに「世界の山ちゃん」に繰り出しました(笑)。
東京にもあるのですが、なんとなく・・・ね。
そこで見た光景は、やはりグローバルな空気。
外国人がひっきりなしに来店していました。
すごい・・・。もうこれが当たり前なんだ・・・。
アルバイトの男の子が頑張って会話しているのが好印象でした。
Commented at 2016-01-09 13:53 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mikikasai819 at 2016-01-09 14:08
禁止ワードというのが私には心当たりがなく・・・すみません。
Commented at 2016-01-09 22:26 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by mikikasai819 at 2016-01-18 13:01
コメントへの返信が遅くなりすみません。
こちらこそお騒がせしてしまいました!
ありがとうございます。
by mikikasai819 | 2016-01-07 00:16 | りょこうき(旅の記録) | Comments(4)

by mikikasai819