このき なんのき かさいみき

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元ラジオ局アナで今はフリーで活動中、河西美紀(かさいみき)のげんき・やるき・ほんきのつぶやき。

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おもしろきこともなき文章をおもしろく

幕末の志士である高杉晋作の辞世の句
「おもしろきこともなき世をおもしろく」。
今回のタイトルはちょっとそれを拝借&変換。

・・・私が担当している生放送の中には、
各種お知らせを読むコーナーがあります。
正直、とりたてて面白い内容というわけではありません。
硬い原稿が用意されています。

でも、私はこれをいかにやわらかく伝えるかということに全力を注いでいます。
いや、逆にいい塩梅で力を抜いて伝えているといってもいいかもしれません。

だって、ラジオで耳だけで聞くとなると、難しい単語の羅列では
チャンネルを変えたくなってしまうはず。
私がリスナーだったらそうですもの。

でも、内容自体は大切なお知らせなのだから、
しっかり聞いてもらえるように、
相手の気持ちに寄り添って噛み砕いて伝えたい。
ある種、私が最も大事にしていることのひとつです。

これは、FM群馬に入社してすぐに担当した5分番組、
「地域インフォメーション」が原点です。
ワイド番組の合間に、なんというか、地味に存在していた番組でした。

新人時代は、自分がただハキハキと上手に読むことに一生懸命になって、
内容がまったく頭に入っていないという状態でした。
(今となってはよく生徒さんに教える事柄なのにね)

そんな中、別枠で「県政ガイド」を読んでいた契約アナウンサーの先輩が
同じような硬い原稿なのに、別物かと思うほどに、
とてもやわらかい口調で伝えているのを聞いたのです。
彼女が読むと、「銀行の融資利率」とか「貸付面積の決定」とか、
音声だけだとさらに難しく感じるはずの単語も
頭にスーッと違和感なく入ってきました。

それはそれは、もう、衝撃でした。
「ああ、こういう読みがしたい」と思って今に至ります・・・。

それで、話は戻りますが、今日の原稿の内容のひとつに、
「国民年金保険料納付の特例制度」というものがありました。
・・・もういきなり噛みそうですよね(汗)。
2分前後の尺の原稿、残念ながら難しい単語ばかりでしたが、
聞き取りにくいであろうところはゆっくりと、分かりやすいように伝えました。

・・・とまあ、このように誠実に原稿に向かっても、
お知らせのコーナーは面白くないし難しいから
ラジオだと特に聞き流してしまうという人が多いのは事実です。
本当は面白く伝えることだってできるのですが(爆)、
きちんと原稿がある状況の中で、できることをしているつもりです。

まどろっこしくなりましたが、結論部分に入るとすると、

今日、放送終了後に、この放送を聞いていた方から言われたのです。

「ちょうど息子が学生で、年金のことどうしようって思ってたから、
納付の特例手続きのこと聞いて、なるほどって初めて分かった!
まさに知りたいことだったからさ、放送、すごく真剣に聞いちゃったよ!
このあと問い合わせ窓口に電話してみる!」


・・・

・・・

・・・

聞き流すどころか、聞き入ってくれていた!
私の伝えた内容で、次のアクションをしてくれるって・・・。

この仕事をしていてよかったなーと思えた瞬間でした(感涙)。

ラジオって音楽かけてお便り読んで
フリートークで楽しくしゃべって・・・って
いわゆる「パーソナリティー」の部分が多いですが、
「難しい内容を分かりやすく読む(伝える)」醍醐味からいうと
やはり私は「アナウンサー」なんだなぁって我ながら思ったのです・・・。





なんだか嬉しくて感慨深くて、気づけばたくさん書いてしまいました。
今後も、原点を忘れずに、
硬軟様々な言葉ひとつひとつを大切に発信していきたいと思います。
Commented by あい at 2011-05-16 22:00 x
自分なりの言葉でわかりやすく話す…。それが共感や理解へと繋がる。


河西さんの気持ちが届いた瞬間でしたね。
Commented by mikikasai819 at 2011-05-19 21:46
あいさん、ありがとうございます。
長い文章、しっかり受け止めてくださって嬉しいです。
これからもがんばっていきます。
by mikikasai819 | 2011-05-13 18:04 | はたらき(お仕事) | Comments(2)

by mikikasai819