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このき なんのき かさいみき

今だからこそ、会えた。

アナウンサーになるという夢を持った2人の女子高生。
2人は親友というより、戦友。お互いがお互いを認めていた。
時にはライバル、時にはパートナー。なくてはならない存在だった。

やがて2人は別々の大学に進むも、アナウンサーという夢を追い続けた。
時に励ましあい、時には牽制しあい、良くも悪くも意識しないことはなかった。

とある地方局の試験では、事もあろうか、2人で同時面接という事態も発生した。
「君たち、高校一緒なの」『はい』
これぞ、ガチンコ勝負。片方は通過し、片方は不通過。それが現実だった。
恨みっこなしとはいえ、後味がいいものではない。

結果的に、1人はアナウンサーになり、もう1人はアナウンサーになれなかった。
仲良かった2人の間に、自然と溝ができた。
自分の中の想いはもちろんのこと、お互いの気持ちを思えば思うほど連絡が出来なくなった。

アナウンサーになった子は、
今、こんな仕事をしていて充実しているよと報告をすることは決してよくない、
相手の気持ちを逆なでするだろうと恐れた。
でも、そうかといってつらいことばっかりだよと報告しても
「夢をかなえたんだからいいじゃん」と思われるだろうと考えた。
何度も手紙を書こうとしたが、結局、何を書いてもしらじらしく聞こえるだろうと思ったら、
そのうち連絡が出来なくなった。もう、二度と会えないかもしれないとさえ思った。

アナウンサーになれなかった子は、
別の仕事を一生懸命しながらも、心のどこかで喋る仕事をしたいという想いが捨てられず、
アナウンサーではなく声優というジャンルの勉強を始めた。
頑張っている友達に刺激を受けながらも素直にそれを認められるには時間がかかり、
いつか私も胸を張ってこういう仕事をしていると報告できることを目標にした。
自分が大成して心の底から笑顔で話が出来るようになるまで、あえて連絡を絶っていた。
でも、絶対にいつか気持ちよく会える日がくると、信じて疑っていなかった。

それぞれに、喜びもあるけどその倍以上の苦しみもあった。
でも、その苦しみによってお互い成長した。





そして、大学卒業から9年の月日を経て、とうとう、機は熟した。
ひとつの勇気によって、再会までこぎつけられた。





9年ぶりの再会の瞬間、強くて固い握手を交わし、なんどもその手を上下に振り、
「本当に久しぶり」「変わってないね」といいながら、何よりも、その「声」の懐かしさに、
アナウンサーになりたいねって2人で言っていた高校時代の日々が
走馬灯のようによみがえった。それと同時に、すべてが夢のようにも思った。
「昨日は眠れなかった」という台詞も大げさではないなと思った。

そこから実に5時間、ランチをしながら、お茶をしながら、2人は語り続けた。
どんな細かいことも聞き漏らしたくなかった。
アナウンサー受験の時、どういう気持ちだったのか。
会っていない間、どんな生活をしていたのか。
当然だけど、初めて知ることばかりだった。
お互いを知り尽くしていたはずが、実は意外な一面もたくさんあった。
それは、多分、社会人になってから一度も会っていないからこそで、
考え方も随分変わったように思う。
会えなかった9年間という月日はやはり必要だったのだと思った。



ランチの最後に、アナウンサーになった子はあるアイテムを相手から手渡された。

「泣かせるために持ってきたよ」
『え?なになに?』

それは、立派な額に入った1枚の写真だった。

そこには、2人が高校時代、校内で行われたあるコンサートにおいて、
影アナのお手伝いをしたときの集合写真だった。
その影アナこそが、アナウンサーになりたいという想いを強くさせた原点だった。
2人が制服を着て隣同士に座っているその写真を見て、
悔しいけど、まさに、見事に、泣かされた。

この貴重な写真を偶然入手できたのがちょうど9年前だったそうで、やっと渡せたのだそうだ。
ずっと持っていてくれたこと、このタイミングで貰えたことも何かの運命。

本当に、ありがとう。なんというか、もう、言葉にならないよ。
Commented by miki at 2008-04-07 02:19 x
みきちゃん!!!本当によかったね!!!おめでとう!
わたしも会いたいな~♪適度な頃合で?、ぜひ呼んでください、会うとき。
Commented by この木、何の木?何だろね。 at 2008-04-07 03:07 x
希望した職業につけたかどうかではなく、希望した人生を歩んでいるかどうかですよね。就職試験がどうのこうのという問題は、人生において実に小さいことではないでしょうか。本人の努力に無関係ということもあるかと思います。

表面的な運、不運を超えて、ここに登場する二人の女子高生が充実した人生を歩めることを願ってやみません。
Commented by かずにょい at 2008-04-07 12:21 x
ううう、いいお話ですね。
Commented by mikikasai819 at 2008-04-07 23:46
mikiさん、ありがとうございます。
このキッカケを大事にしたいと、今、心から思います。
Commented by mikikasai819 at 2008-04-07 23:50
この木、何の木?何だろね。さん、ありがとうございます。
人生って本当に分かりませんね。
ただ、2人ともにあまりにも長くひとつの夢を追ってきただけに、
一時の「就職」という域を超えた、それこそ人生の核といえるほどの
大イベントだったことは間違いありません。
Commented by mikikasai819 at 2008-04-07 23:53
かずにょいさん、ありがとうございます。
実際に思い出しながら書いてみて、ちょっと私も半泣きでした。
まさに、今このタイミングだからだったと思います。
by mikikasai819 | 2008-04-06 23:42 | にっき(日々の出来事) | Comments(6)