赤ちゃんに戻っていく

昨日、仕事が終わったあと、友人の家に立ち寄ってから、急遽、実家に帰ることにしました。
(かなり遅い時間だったので、母以外は寝ており、夜型人間の私は若干肩身狭い)
偶然にも父が山梨の田舎に泊まってくるとのことで不在。

そこで母からは「今夜はお客用布団出してないから、私のベッドで寝なさい、
私がお父さんの方に寝るから。お父さんのはイヤでしょ?」と言われました。

ほんの一瞬考えたけど、「え、別にいいよ」と笑って返し、
これもやっぱり変わり者の一環なのかな・・・と思いつつ、
女子高生じゃないんだし一緒に寝るわけでもないんだし・・・とも思いつつ(苦笑)。
結局、横になってしまえば、そのまますぐ就寝。

朝、帰ってきた父親から「なんだなんだ!?美紀か?」と驚かれながら、全く起きる気配なし。
マイペースで1日が始まりました。



さて、前置きはこのくらいにして(相変わらず長い)。

目覚めて、階段を下りて、リビングへ。
「ふわー、おはよう」
すると、かならずソファーでニコニコ迎えてくれるのが89歳の祖父
「はいはい、おはよう」

祖父はとにかく温厚な性格で、怒ったところを見たことがありません。
当然、怒られたことも一度もありません。
小さい頃から、「はいはい、ダメだよ」と笑顔でやさしく言われるだけ。
だから敵を作りません。

そんな祖父、元気ではありますが、ここ数年めっきり足腰が弱くなり、
「自由に歩き回れないのがつらい」とすごく寂しそうなのが気になります。
耳も遠くなり、話しかけてもなかなか1回では反応がありません。
TVの音量をかなり大きくした状態でソファーの定位置にちょこんと座っているのが
お決まりの状態になってきています。

でも、時々は健康のために、押し車を手に、歩く祖父。

祖母が「今日は歩きに出かけるの?」と祖父に聞くと、

「便が出ないから、ちょっと今日はやめる」と。(食事中の方、ごめんなさいね)

私はこれを聞いたとき、さっぱり理由が分からず、
「便秘なら歩いた方が効果ありそうなのに」と思ったのですが、
「突然外でトイレに行きたくなってもおじいちゃんは走れないんだ」と言うではありませんか。

確かに「うわー、トイレはどこだー!」って駆け込める人はいいですが、
祖父のように、1歩1歩、ゆっくりでないと歩けなくなった今、
突然便意が襲ってくることを考えたら控えてしまいますよね・・・。そっか、そっかぁ・・・。

すると、「出かけないけど、ちょっと寒いから薄手のセーターを着る」と
祖母に持ってきてくれるよう頼んでいました。

「家の中でちっとも寒くないのにセーター?」とビックリすると、半袖の私を見て、
「美紀、そんな格好でいると風邪を引いちゃうよ」と逆に言われました(苦笑)。
祖父いわく、年をとると、血液のめぐりが悪くなるから、体が冷える・・・と。


セーターを祖母から受け取った祖父は、
既に自ら身に着けていたベストの上からセーターを着ようとしたので、
「おじいちゃん、これはさすがに脱ぐでしょ?」といったら、
きょとんとしたあと、恥ずかしそうに「ああ、そうだそうだ」と微笑。
うっかりしていたとはいえ、ほほえましい光景です。

一人で着るのに手が震えて苦労していたので、袖から腕を通すのを手伝ってあげました。
「はいはい、ありがとう」

「おーっ、なかなかいいんじゃない、このセーター」
そういいながら私が中のワイシャツの襟を直してあげたとき、

・・・祖父がつぶやいたのです。

「おじいちゃんはこうやって赤ちゃんに戻っていくみたいだなぁ」

・・・

・・・

・・・言葉がでませんでした。

つまり、私が生まれた頃は赤ちゃん(私)の面倒を見てくれていた祖父が、
今ではセーター1枚着るのも、トイレに立つのも孫の世話になっているという事実に
祖父は、想像以上の切なさを感じているのでした。

「いいじゃん、それでも。おじいちゃん、世話かけたっていいじゃん。」

心の中で無意識にそうやって語りかけてしまった私でした。
そして、セーターを着て満足そうにまたソファーにちょこんと座っている祖父を見て、
かわいいなぁと思ってしまう自分に、
確実に孫の私も年をとったなと思ってしまったのでした・・。

おじいちゃん、また来るよ!今度は一緒に、散歩しよう!!!
(そのためには、私も夜じゃなくて、朝に動かないとね・・・汗)
Commented by まこちん at 2007-06-11 21:27 x
先日田舎に行ったとき、うちの祖父も足腰が・・・って話をしていましたよ。
頻繁には行ってあげられないけど、なるべく顔を見せに行こうと思いました。
美紀さんもおじいちゃんを大事にしてあげてね。
Commented by なかさみ at 2007-06-12 11:33 x
ちょっと、涙でそうになりながら読みました。
家の祖父は、二人とも他界しましたが、そういえば
お決まりの定位置があったなと。
祖父がそこに座っていないと、なんだか寂しいと
感じるよ。そして、確かに老いた祖父は耳が遠くなり、
口数が少なくなっていたけど、体がつらくなっても、
管をまきつけたまま、いつもの椅子にすわり、皆の
輪にさりげなく入っていたなと思いだしました。
いつまでも一緒にいられないかもしれないけど、
赤ちゃんにかえるお祖父ちゃんに会える間は、
できるだけ会いにいけるといいね!!
Commented by mikikasai819 at 2007-06-13 13:37
まこちんさん、ありがとうございます。
何かしてあげられることって、
実は元気な姿を見せることなんだなって改めて思います!
そして足腰が元気な今、その幸せをかみ締めながら
もっともっと色々出かけて見聞を広めたいなぁ。
(やっぱりじっとしていられない)
Commented by mikikasai819 at 2007-06-13 13:47
なかさみさん、ありがとうございます。
書き込んでもらったコメントを見て、
私まで涙ぐみそうになりました。
そのとおり、さりげなく輪の中に入っている祖父です。
いや、入っているんだか入っていないんだか
分からないくらいさりげなく・・・(微笑)。
by mikikasai819 | 2007-06-11 12:44 | にっき(日々の出来事) | Comments(4)

元ラジオ局アナで今はフリーで活動中、河西美紀(かさいみき)のげんき・やるき・ほんきのつぶやき。


by mikikasai819